Atomという言葉は、元はギリシャ語のAtomonであり、「分割できないもの」という意味である。
古代ギリシャのデモクリトスらによって、原子論という仮説が唱えられた。
物質にそもそも本当に最小構成単位があるのかどうかということについては、人類の歴史始まって以来、明らかにされたことはない[2]。
後述するような歴史的経緯によって、「原子」という言葉が、その原義と矛盾するような、物質のひとつの構成単位にすぎないものに割り当てられてしまったので、その後「(仮説的な)分割不可能な単位」という概念を指すために「素粒子」という言葉が新たに造語され、現在ではそれが広く用いられるようになっている。つまり、かつて「原子論」と呼ばれる分野で行われていた推察・考察は、現在では「素粒子論」と呼ばれる分野において行われている。
冒頭定義文の2番目の意味での原子(=中間構成単位としての原子)は、分割可能で下部構造があるのでその要素の組み合わせによって、同一種のものと判定されたり、異種のものと判定されたりすることになる。現在発見されているものだけでも約3000種類存在し、数え方によっては約6000種類に達する。しかしながら、電子の数(陽子の数)を基準とし、それが等しいものを同じ原子と考えた場合は、約110種類の元素にまとめることができる。個々の原子の境界面は、外側に位置する電子の性質上、厳密に言えばはっきりとしないものである[3]が、一般にほぼ球状と理解されており、半径は10-8cm程度、質量は種類によって異なるが、10-24〜10-22gである。分子は複数の原子が共有結合によって結びついたものである。種類は少ないものの1個の原子から成り立っている分子(単原子分子)も存在する。
歴史
「物質」が、「極めて小さく不変の粒子」から成り立つという仮説・概念は紀元前400年ごろの古代ギリシアの哲学者、レウキッポスやデモクリトスに存在した。だが、この考えは当時あまり評価されたとは言えず、その後およそ二千年ほど間、大半の人々から忘れ去られていた。
19世紀初頭のイギリスの化学者ドルトンが、近代的な原子説を唱えた。彼は、化学反応の前後の物質の質量の変化に着目し、物質には単一原子(現在の原子)と複合原子(現在の分子)がある、との説を述べた。だが、当時の科学者の多くは物質に本当にそのような構成単位があるのか大いに疑っていた。科学者の共同体では「原子が存在するとは信じません」と言う科学者のほうが、むしろまともだと考えられていたという[4]
19世紀後半、ルートヴィヒ・ボルツマンは、気体を原子仮説で想定されている「原子」なるものの集合と考えれば、(当時知られていた)気体の特性の多くが説明できると考えた。「原子」なる仮説的存在が動き回っているとすると、温度や圧力の性質も説明しやすいし、蒸気機関において熱い気体がピストンを押すという仕事をすることも説明しやすかった。
プラム・プディング・モデル 1904年3月にトムソンが発表した原子モデル。 正に帯電した「スープ」の中に、負の電荷を持つ電子が埋まっている。 当時はまだ原子核の存在は知られていなかった。 1911年、ラザフォードが行った原子核の存在を示す実験 (ラザフォード散乱)により、このモデルは否定された。
ラザフォードの原子モデル 正の電荷を持つ微小な原子核の周りに電子が存在する、とした。
最近の理解図。ヘリウム原子。電子が雲状に描かれている(→電子雲)。
20世紀初頭にラザフォードとソディが発見したウランの放射壊変は原子の概念を大きく変えた。原子は不変の粒子ではなくなったからである。これに先立つ陰極線の発見とあわせ、近代的な原子モデルを確立したのがトムソンである。彼のモデルはちょうど、ぶどうパンのように、正に帯電した「パン」の中にブドウのように電子が埋まっているというものだった。ついでラザフォードと長岡半太郎が独立に惑星系に似た原子モデルを考案した。ボーアは量子仮説に基づく電子の円軌道モデルを考案し、ゾンマーフェルトが電子の楕円軌道モデルに拡張した。
量子力学の発展に伴い、原子と電子の関係に関してはほぼ解明されてきているとも言えるが、原子核のことは今でもわからないことは多い。また、量子力学の発展に伴い、当初の原子論が暗黙裡に含んでいた素朴な図式・世界観(球状の何かの想定、モノが絶対的に実在しているという素朴な観念、つまり非確率論的に実在しているという素朴な観念)は、すでに崩れてしまったとも言え、物理学の理論全体としては、当初となえられていた原子論とはかなり異質なものになってきた、とも言える。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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